神様のきまぐれ
窓をすかせて、時々、
汗を拭いにいく。

その度に、日向さんは、
私がそばにいるかを
確認していた。

うっすら開けた瞳で、
自分を探す様子が
愛おしくて。

名前を呼ばれる度に、
心臓あたりが
キュッとなった。

スポーツドリンクを
枕元に置くと、
彼は、物音で目を覚ました。

『元田は?』

『取材にいかれました。』

『そっか・・』

『水分一杯とって眠ると
楽ですよ。飲みます?』

泡盛でやられた時に、
私が、よくとる方法だ。

小さく相槌をうったあと、
脱水症状だったのか、
2リットルのペットボトルを
空にして、彼は再び倒れ込んだ。

眠る様子を確認して、
部屋を後にしようとしたとき、
再び名前を呼ばれた。

途中で帰るなよっていって、
彼は、手を繋ぎ眠る。


子供みたい・・・。


笑みがこぼれた。


端正な顔立ち。
温かな手。

日向さんをみつめながら

ずっとこうしていたいと
思った。



 
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