3人の き も ち
その日、部活の練習でたまたま外を走っていた後の小休憩だった。
水を飲んで体育館に戻ろうとして、会ったのだ。
泣いている早苗に。
すぐに走って車用通行門に行くと、前方に見えた黒塗りの車に乗り込む手前の伸を捕まえる。
『決めたんだ、ごめん』
強い決意と共にこぼされる謝意。
揺るがない瞳。
解っている。
コイツは案外頑固者だ。
考えた末での、結論なのだろう。
だからといって、納得なんか、できるわけ、無い。
「ふざけンな!」
むんずと伸の胸ぐらを捕まえ、映樹はそのにぎり拳しを伸の頬に叩きつけた。