3人の き も ち
映樹が姿を現すと、途端に小さな騒めきが起こる。
それらを一切無視して、自分の席に座る。
先にきていた圭吾が、映樹の目の前にコピー用紙の束を差し出してきた。
顔を上げて圭吾を見る。
「休んだ分のノート、コピーしてきた。」
「…助かる…。あ、」
「代金ならイラネー。どーしてもってンなら、昼飯付き合え。」
礼を言う変わりに渡された紙束を持ち上げて、わかった。と返事する。
圭吾も応えること無く片手を一度ヒラリと振るだけで、自分の席に戻っていった。
圭吾はそれきり。声をかけるどころか、映樹に近寄りもしなかった。
変わりとばかりに、教室の外には物見遊山ばりの野次馬、あれこれ聞きたがる輩が、映樹に寄って来たが、不機嫌さを丸出しに、ソノ話は口を閉ざす。
名前も聞きたくない。
あんな奴、もう他人だ。