伽羅子
踊り場にうつ伏せになったままの伽羅子を見ながら、俺は呼吸を荒げる。

立ち上がれない。

完全に腰が抜け、膝が震えていた。

…また、伽羅子が動き始めるような気がしたのだ。

手加減する事なく、思い切り伽羅子の顔を何度も蹴った。

恐らくは伽羅子の頚椎がへし折れるほどに強烈に。

首の骨が折れて生きていられる生物など、この世には存在しない。

完全に伽羅子は死んでいる筈だ。

なのに…。

伽羅子の見せた執念深いまでの生命力に、俺は完全に圧倒され、脅え切っていた。

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