伽羅子
致命傷ならば数え切れないほど与えている。

これで生きていたとしたら、最早人外の化け物に他ならない。

生きていられる筈がない。

それなのに、どうしても安心する事ができない。

不安を払拭する事ができない。

『曽根崎伽羅子は死んだ』

その事実を認める事ができない。

いや、生きている筈はないのだ。

なのに、もしかしたら…そんな事を考えてしまう。

それほどまでに、廊下を這いずり、階段を転げ落ちてまで、俺に迫ってきた伽羅子の姿は衝撃的であり、戦慄を覚えずにはいられなかった。

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