甘い蜜



ゆっくりと深呼吸する。
ここで、上手くいけば何もかもがうまく進むだろう。
利用するのも…悪くない。


「えぇ………但し、条件があります」

「条件、だと?」

「はい。まず、真理子さんとの婚約を白紙にしてください」


親父は、目を見開いた。
俺は続ける。


「元々承諾なんかしてないので白紙なんて言葉は必要ないですけど」

「………私の話を聞いていたのか」

「勿論。ですが、麻生グループの力を借りずとも会社を成り立たせる」


何も経験はないが、なぜか自信はあった。


親父は、唸り考えた後、頷いた。


「………分かった。白紙に戻そう」



< 100 / 458 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop