甘い蜜



「お前の言うとおり、麻生グループに魅力はない……だが、いざという時に役に立つかもしれない」


それは金銭面であったり経営面であったり。
どちらにしても損することはないだろう。
その、いざって時が来るかどうかはわからないが。
そんな分らない未来のために、確保してなければならないものだろうか。


「…………貴方は、狡い」


何故今になって弱気になる?
だったら最初から言えば良かったじゃないか、お前のためだって。
褒めてくれれば良かったじゃないか。そうすれば。


「………そんなに、戻ってきて欲しいですか?」


バッと親父は顔を上げた。


「戻ってくるのか?」


期待に満ちた目。



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