甘い蜜
麻理亜に近づいて、肩を抱く。
真理子さんが顔をゆがめた。
「………何のご用で?」
「っその子は誰ですか」
キッと睨まれる。
ビクッと更に麻理亜が怯える。
黒髪は背中まで伸ばしてお嬢様、に相応しい服を着て、こんな人が俺の婚約者だったのか?
見た目は良くても中身は悪そうだ。
人間人柄は顔に出るという。
この女の人柄は、残念ながらきっと最悪だ。
「どうやってここに?」
「いいから答えてください!!」
はぁ、と溜め息が出る。
「麻理亜は、私の大切な人ですよ」
「!!?なんで……っ私という婚約者がいながらっ」
「それは親が勝手に決めたことで私は認めていません」