甘い蜜



みるみるうちに真理子さんの目には涙が。眦から溢れた水が流れ始める。


「どうしてっ……そんな……私の、私の気持ちが分からないの……?」

「残念ながら。私にはその気持ちにお応えすることは出来ません」


気づかない振りをしていたのは確か。幾ら一度しか会っていなかったとはいえ、ああ頻繁に電話が来たらバカでも気づく。


でも、分からなかった。
どうして一度しか会っていないしかも挨拶程度の人間に恋をするのか。
俺からしたら面食いとしか思えない。
きっと俺じゃなくても顔がよかったら好きになっていたんだろう。


「話はそれだけですか」

「っ……」


真理子さんは、泣きながらそれ以上は何も言わず走って出て行った。


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