甘い蜜
ベチャッ……パタパタ…
「お帰りなさい!」
「(ベチャッ?)………ただいま」
麻理亜が居てくれたことに安心するより、その前に聞こえた音の方が気になってしまった。
「麻理亜」
「何?」
首を傾ける麻理亜の額が微かに赤くなっているような気がするのは気のせいじゃないだろう。
「……いや、ただいま」
何があったのか想像してしまい、小さく笑う。
さっきまで苛立ちで一杯だったのに、そんなもの一瞬で消え去ってしまった。
「?おかえり」
不思議そうにしている麻理亜の頭を撫でてやると、一瞬、麻理亜の体が強張る。