甘い蜜
東条さんと敬夜さんがなにやら話をしているけれどその会話はいっさい耳に入ってこなかった。
………あの笑みは、反則……
顔が熱い。
何時まで経っても敬夜さんの優しい笑みには慣れない。きっと慣れることもないと思う。それくらいに魅力あるものだ。
「さて、行くか」
「………え?」
「目的地はここじゃないからな」
敬夜さんは、私の手を取ると歩き出す。
「ありがとうございました!」
東条さんの声を後ろに私達は店から出た。
出た途端、幾つもの視線が突き刺さる。
………っ、何見られてる……
急に恥ずかしさが頂点に達する。
すると、私の頭上で舌打ちが聞こえた。
「………じろじろ見てんな、糞野郎共が」
「敬夜さん?」
「そもそも、こんな場所にこの店があるのがいけない」
そうブツブツと愚痴っている。