甘い蜜
「それより、ちょっと散歩にでも行こうか」
「………この格好で?」
「そ」
敬夜さんもスーツだから、別にいいかもしれないけれど、正直早く着替えたかった。
「綺麗な麻理亜を見せびらかしに」
さっきまでは、嫌がっていたくせに、ニヤリと笑う敬夜さん。
「………見せびらかすほどじゃないよ」
ぷくっと頬を膨らませて反抗するけれど、敬夜さんはクスクス笑うだけで、私達の足はドアへと向かっている。
別に散歩と言ってもホテルの中をぶらぶらするだけで、特に何もない。
一時間くらいだろうか。
それくらいで私達は部屋に戻った。
すっかり太陽も沈んでいて、エレベーターの景色は光輝くネオンで埋め尽くされる。綺麗だけれどやっぱり怖かったから、敬夜さんにしがみついていた。