甘い蜜
まるで捨て猫のような目に、俺はクスリと笑ってしまう。
「病院に行かない我が儘なお姫様のために氷枕を作らなきゃな?」
「あ……」
「すぐだからな?」
安心させてやるように笑みを浮かべながら言うと、そろそろと服を掴んでいた手が離れていく。
「ん、いい子」
俺は麻理亜の頭を一撫でした後、氷枕を作りに台所へ行く。
普段あまり風邪を引かないから氷枕の袋は直してある。それを引っ張り出して氷をそれに詰める。
ある程度詰めたら、今度は救急箱を開ける。
冷えピタ………あった
とりあえずは、その2つを手に寝室へ戻る。
「麻理亜――――」
氷枕、と言おうとしたが、ベッドを見て口を閉じる。