甘い蜜



「やっぱり!!」


ただ一人だけ母さんだけが喜ぶ。俺達は喜びよりも驚きの方が勝っていて、頭が回っていない。


妊娠、赤ちゃん……


「本当に……?」


涙声を含む麻理亜の声に俺は、やっと言葉を飲み込むことが出来た。


「麻理亜」

「赤ちゃん、赤ちゃんがいる……」


自分のお腹に手をやる麻理亜の肩にそっと手を添える。


「やっと孫が見られるわ」

「………」

「あら、敬夜。嬉しくないの?」


母さんの言葉に麻理亜が不安そうに見上げてくる。


「んな訳ない………ただ」

「ただ?」

「母さんが先に気付いたのが気に食わない」


< 437 / 458 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop