甘い蜜
「やっぱり!!」
ただ一人だけ母さんだけが喜ぶ。俺達は喜びよりも驚きの方が勝っていて、頭が回っていない。
妊娠、赤ちゃん……
「本当に……?」
涙声を含む麻理亜の声に俺は、やっと言葉を飲み込むことが出来た。
「麻理亜」
「赤ちゃん、赤ちゃんがいる……」
自分のお腹に手をやる麻理亜の肩にそっと手を添える。
「やっと孫が見られるわ」
「………」
「あら、敬夜。嬉しくないの?」
母さんの言葉に麻理亜が不安そうに見上げてくる。
「んな訳ない………ただ」
「ただ?」
「母さんが先に気付いたのが気に食わない」