甘い蜜
「んー」
もぞもぞと壱斗が身動ぎをしながらぎゅっと目を瞑る。
起こしたか?と麻理亜と二人様子を窺う。しかし、起きる様子はなくて、寝返りをうっただけだった。
我知らず笑みが溢れる。
「可愛い………」
「あぁ……」
「子供ってこんなに可愛いんだね」
「寝ているときだけな」
苦笑しながら改めてリビングを見渡すとおもちゃが散らばったままだ。
きっと俺がいない間麻理亜は大変だったに違いない。
「そんなこと言って、」
クスクスと麻理亜にはお見通しのようだ。
あぁそうだよ。目に入れても痛くないくらい可愛いさ。
少し頬を膨らませると麻理亜は笑みを深くする。
「そろそろ、ご飯の準備するね」
「あ、あぁ」
麻理亜は、自分の膝に頭を乗せてる壱斗を下ろそうと頭を支えた。