甘い蜜
「ん~」
壱斗が眉間に皺を寄せた。
そして、ゆっくりと目を開ける。
暫く宙をさ迷わせていた壱斗は、俺と麻理亜をその目に映すなり満面の笑みを向ける。
「パパ」
「おはよう壱斗」
「ママ」
「おはよう」
ニコニコと寝起きにも関わらず上機嫌だ。体を捻って体を起こす。
頭を撫でてやると、壱斗は気持ち良さそうに目を瞑る。
「沢山寝たか?」
「ん!ポカポカ!」
「そうか」
「いーぱいちょーちょっ」
まだ単語しか言えないが、楽しそうだからきっと良い夢か何かだろう。
俺は、壱斗の脇を持って胡座をきいた上に乗せた。
キャッキャッと上機嫌な壱斗に俺は、笑みが溢れる。そんな俺達に麻理亜は夕飯の準備をしようと腰を浮かせる。