甘い蜜
「―――麻理亜には、悪いけど調べさせてもらった」
「?」
「お前の、家の事」
息を飲むのが伝わってきたかと思ったら、急に麻理亜が暴れ始めた。
俺から離れようとしているみたいだが、簡単に離すわけない。
「っ離し―――」
「お前が欲しいものは、愛、だろ?」
拒む麻理亜の言葉を遮って、俺は腕に力を込めて言う。
ピタリと麻理亜の動きが止まった。
「愛して、貰いたかったんだろう?」
学から聞いた話は、悲しい話だった。