甘い蜜
ピクリと真理子という言葉に反応する。
………上手くいけばいいが。
「………残念ながら、私は真理子さんと結婚する気はありません」
「何?」
「そもそも私はこの婚約に賛成なんかした覚えはありません。貴方が勝手に決めたことです」
「親に逆らうか?!」
だんっと机を思いっきり叩く。
逆らう?別に逆らっている訳じゃない。事実を言ったまでだ。
「それに麻生グループに何の魅力が?」
「お前には関係ない!」
「ああ、そうでした。………私はただの教師ですからね」
そう、俺は教師。
この会社の人間でも、この男の跡継ぎでもない。