甘い蜜
「ただの教師がこんな所にいるのは可笑しいですね」
それでは失礼します、と出ていこうとした俺を親父は慌てて引き留める。
「ま、待て!!」
「何か?」
「お前はどうして私に逆らうんだ!?」
はぁ、と俺は溜め息をついた。
くるりと体の向きを変えて親父と向かい合わせになる。
「………私は、貴方のやり方が気に入らない。」
別に会社を継ぐのが嫌な訳じゃなかった。長男の俺が継がなきゃいけないのは分かっていたし、頑張ろうとも思っていた。
でも、
「貴方に縛られながら生きていくのに、嫌気がさした。」