甘い蜜
決まっていた大学には行かず、教育学のある大学を受けた。
自分の人生は一度っきり。
親に振り回されたくない!!
「だから私は教師の道を選んだんです」
自由に、思うとおりに生きたかったから。
「お前は私の息子だ」
「そうですね」
「私は、会社をお前に継がせたいんだ」
はぁ、と溜め息をつかれた。
何故あんたが溜め息をつく。
溜め息をつきたいのはこっちなのに。
「………何が不満なんだ…」
弱々しく親父は呟いた。
さっきの威勢はどこへやら、親父は椅子に深く腰掛けなおす。