甘い蜜



「貴方こそ、何故私に継がせたいんですか。」


経営学を学んでいない自分よりも、優秀な奴を次に持ってくればいい。
例えば、葛城とか。
そこまでして俺にこだわる理由が分からなかった。


親父は、俺をチラリと見て、また視線を戻して溜め息をつく。


なんかそれ、失礼じゃないか?


「………私の、夢だったんだ」


自分の建てた会社を、自分の息子が継ぐ。苦労して成功した栄光を、他人ではなく我が子に。
それは、子の幸せを親が望むことだった。


だから、厳しく接してきた。甘やかしたらいつか継いだ時に足元を掬われるかもしれない。


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