神様のイタズラ
つぐみ
 夏休みを境に激しさを増す受験シーズンは、3月頭の合格発表と不合格者の家庭へのお詫びの電話で終わりを迎える。

 ほっと息をつく隙もなく、残った中学1・2年組の成績が出る。芳しくなかった生徒には、家庭を含めてフォローが必要になる。
 不信感を募らせる保護者を電話で宥め、落ち込む生徒を励まし、痛くも痒くもないような顔をした子供は尻を叩く。

 平行して通常授業と春期講習の準備が進む。受講生の獲得に向けて、どの校舎も必死だ。印刷機をフル稼働させて校舎独自のチラシを作る。ひたすら折って夜中のポスティングに出かける。

 大々的な人事異動が行われるのもこの時期だ。
 あたしはすでにお偉方に呼ばれて、異動なしの連絡を受けてるから気楽なもんだ。アルバイトの先生には基本異動がないから、スタッフも生徒も変わらない、快適な環境で授業ができる。

 このまますんなりと春期講習に入るものと思っていた3月の半ば、再びお偉方からの呼び出しがあった。
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