探偵バトラー ~英国紳士と執事~
 絵理に微笑まれて青司の頬が一瞬緩んだが、オレの存在に気が付くと緩んだ頬を引き締めた。

 お前邪魔だよどっか行けよ、と言わんばかりの視線を一瞬だけこちらに向ける。

「あれ? 爺やもいたんですか。気付かなかった」

 絵理の未来の婿殿は白々しい台詞をのたまいつつ、失礼極まるあだ名でオレに呼びかけた。

「誰が爺やだ。お前と二つしか歳変わらねぇだろ!」

「でも執事といえば爺やと呼ぶのがお約束だし」

「うるせえよ! 第一、お前の執事になった覚えはねーぞ。おい絵理。お前青司にどういう躾をしてるんだ」

 まだ成人すらしていないのに爺やなんて呼ばれるのはまっぴらだ。青司が相手だと延々と言い合いになりそうで、思わず絵理に話を振った。

「おかしな事を言う。躾とは子供や家畜に対してするものだ。青司は私の子供ではないし、れっきとした人間であろう? 言葉は正しく使わないと諍(いさか)いの元になる。気をつけることだ」

 至極真面目な顔で言葉選びについてたしなめられ、オレと青司は思わず顔を見合わせる。

 同時にちらりと絵理を見たあとで、青司は小さく頭(かぶり)を振り、オレは思わず肩をすくめた。突っ込みをいれる事すら馬鹿馬鹿しくなったのはオレも青司も同様だったらしい。

 すっかり毒気を抜かれた青司は素朴な疑問を口にした。

「ところでいつもの離れと違うけど、ここで一体何してたの?」
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