ももか

記憶

手紙の住所と電話番号を公衆電話の電話帳で調べた。
場所は魔法使いのお店から徒歩で5分から10分位の所。
じゃあここの店の前を通ったのはたまたまか…。

今日は早めに魔法使いのお店の手伝いを終わらせてある場所に向かった。

近くにあるというあの住所……。

危ないかも知れないけど…、スリルがあってドキドキしてる。

住所のある場所は、魔法使いのお店と同じブロックの端っこにある。

空き店舗を改装して自宅も兼ねているようだった。
ライブハウスのようにも見える…

……!
冷や汗がでた。
建物をジロジロ見てたももかが振り向くと、ヨシカズが後ろに立っていた。
帰ろうとしたら腕を捕まれた。

「どうしたの。用があるんだろう?」

「いえ…ここはヨシカズさんの自宅ですか?」

背の低いももかはヨシカズに見下ろされる感じだったが、彼は顔をももかの顔に近づけた。

まともにヨシカズに話し掛けられると緊張する。
彼はとても色っぽくてイケメンだった。
ほのかに香る香水かアロマが余計、大人の色気を思わせた。

「ここの地下はライブハウスだったんだ。今はスタジオ。自宅でもあるよ、モモカちゃん」

ヨシカズは『モモカ』と発音する。なぜかカタコトになるのだ。

「あ、お邪魔しました…っ」ももかは緊張がピークに達して、走って帰った。

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