†truth†
犯罪者に向かって、優秀なんて言葉を使うなんて。と父を疑った。
「そのことなんだけどさ、亡くなったの、クラスメートのお姉さんなんだ」
このとき、父の表情が微かに動いたのを、俺は見逃さない。
「そうか…で、何が知りたいんだ」
「この事件の資料とかって、あったりする??」
俺は、親父の手を借りる気はなかった。
自らの手で、全てを知りたいと思った。
「あぁ、署の資料室にはあるかもな」
父は、また箸を動かし始めた。
「ありがとう、明日行ってみるよ。大丈夫。邪魔はしないから」
「そうか」
おやすみ、と父に告げ、リビングを後にした。
この事件、絶対に解決しないといけない気がするんだ。
たとえ、何があっても。
□
『中央警察署』
「すみません、資料室へ行きたいのですが」
最初は、「は?」という顔をされる。
当たり前だ。
一般人は出入りできないのだから。
そこで俺は、予め作ってもらっていたカードを出す。
「上田の息子です」
そう一言言うと、すぐに資料室へ通された。
ちなみに、この署には俺と顔見知りの刑事が何人もいる。
昔から通っていたから。
幼かった俺にとって、ここは公園みたいなものだった。
でも、資料室へ入るのは初めてのことだった。
「こちらです」
若い婦警さんに案内された、大きな部屋。
「ありがとうございます」
行儀良くあいさつをし、ドアが閉まったのを確認すると、並べられたファイルの一冊に手を伸ばす。