†truth†


犯罪者に向かって、優秀なんて言葉を使うなんて。と父を疑った。


「そのことなんだけどさ、亡くなったの、クラスメートのお姉さんなんだ」

このとき、父の表情が微かに動いたのを、俺は見逃さない。


「そうか…で、何が知りたいんだ」

「この事件の資料とかって、あったりする??」


俺は、親父の手を借りる気はなかった。

自らの手で、全てを知りたいと思った。



「あぁ、署の資料室にはあるかもな」

父は、また箸を動かし始めた。

「ありがとう、明日行ってみるよ。大丈夫。邪魔はしないから」

「そうか」


おやすみ、と父に告げ、リビングを後にした。


この事件、絶対に解決しないといけない気がするんだ。

たとえ、何があっても。







『中央警察署』


「すみません、資料室へ行きたいのですが」

最初は、「は?」という顔をされる。

当たり前だ。
一般人は出入りできないのだから。


そこで俺は、予め作ってもらっていたカードを出す。

「上田の息子です」


そう一言言うと、すぐに資料室へ通された。


ちなみに、この署には俺と顔見知りの刑事が何人もいる。
昔から通っていたから。

幼かった俺にとって、ここは公園みたいなものだった。


でも、資料室へ入るのは初めてのことだった。

「こちらです」

若い婦警さんに案内された、大きな部屋。

「ありがとうございます」

行儀良くあいさつをし、ドアが閉まったのを確認すると、並べられたファイルの一冊に手を伸ばす。




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