蒼い月
「・・・何あいつ」
「翔太と晴輝どっちにも
色目つかいやがって」
「・・・やっちゃう?」
「当然でしょ」
文化祭当日。
「おはよー!
飛鳥、今日回れる?」
「有沙なに言ってんの!
飛鳥は彼氏とでしょ♪」
「・・・うん。ごめんね!」
「あっ、そっか!うらやましい♪」
とか言っても回る時間なんて
ほとんどないんだけどね。
半日くらいが演劇でつぶされるし。
貴重な自由時間には晴輝の
仕事があるし。
〔♪ピンポンパンポン
文化祭での出し物
「ありがとうってキミに」へ
出演される生徒は体育館のステージ裏に
集まってください。
繰り返します。
「ありがとうってキミに」へ出演される
生徒は―〕
ヤバッ!
もう行かなきゃいけないし!
晴輝にも会えなかったよぅ(T_T)
ステージ裏で軽く最終確認。
そして問題なく終了。
ステージ発表の時間が刻々と
近づいてゆく・・・
そしてついに―
〔あたしの命は短かったけど
あたしは病気でよかった。
だって入院していなければあの時
あの日、キミに会えなかったから―
ずっとずっと大好きでした〕
あたしは長い長い演技を終え、
大歓声に包まれていた。
いつもの練習では嘘の涙しか
出なかったけど今日はなぜか
本当の涙が出た。
「大好きでした」のところで出たんだ。
何でだろう・・・
なんだか切なかった....