蒼い月

「お前は何してんの?」



突然聞いたことのあるような


声が響く。



「朝に真朝が飛鳥に
放課後残ってろとか何とか
言ってんの聞こえたから来てみたら...
どういうことだよ?
ちゃんと説明しろよ」



声は驚くほど落ち着いていて。


でもその鋭い言い方に


怒りが含まれているのは


きっと誰でも分かるだろう。


でも何で晴輝の時といい、


翔太の時といい、


こんなにいいタイミングで


助けてくれんの?


お前らはスーパーマンかよ。


まぁ、今回はちょっとだけ


遅かったけど。


でも今はそんな文句を


言ってる場合じゃない。



「・・・最悪っ」



真朝はそう吐き捨てると


走って出て行った。



「ほんとごめんな...
俺がもうちょい早くくれば」

「いや、いいよ。
きてくれただけでも十分だし」



本当はそんなことを言う暇も


ないくらい全身痛かった。



「でもほんとごめん。
俺が一方的に好きで...
それが原因でこうなるなんて。
俺、最低だ...」



は...?


今何と...



「え、今・・・」

「あー・・・
俺さぁ、好きなんだ。
でも飛鳥に彼氏いることとか
分かってるし。
だから普通に話せたらって
思ってたんだ。
なのに・・・」

「なんかごめんね...」



もしかしたら


あたしのほうが最低なのかも


しれない。


相手の気持ちも考えないで、


晴輝のことを話したりして。


その間翔太は一体どんな


気持ちだったんだろう・・・?
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