桜の下で ~幕末純愛~
沖田は首をかしげる。そんな桜夜と沖田を見て美沙子は笑った。

「気にしないで。はい、汗を拭いてね。桜夜が来たらご飯にしましょう」

タオルを渡した。

「はい。これは?随分と柔らかいですね」

タオルで汗を拭きながら聞いた。

「タオルというのよ。手拭いの未来の形かしらね」

「よく、汗を取ってくれますね」

その頃、部屋に戻った桜夜は顔を真っ赤にして着替えを始めていた。

どうした?私…

まさか…ね。

だって150年以上も前の人だよ?って150歳上?あり得ない。

「さよーっ」

美沙子の声がした。

いけない。早くしなきゃ。

「今いく~」

急いで支度を済ませ、リビングへ向かった。

「お待たせ」

そのまま席につく。すると沖田が恥ずかしそうに言った。

「あの…昨日から思ってはいたのですが…こちらの時代では皆、その…足を?」

あぁ、そっか。昔は着物だもんね。

でも、そんなに照れてんの見るとこっちまで恥ずかしい気になっちゃうよ。

「えっと…昨日教えた学校で決められてる服なんです。制服って言います」

「“せいふく”ですか」

「ふふっ。短いわよね。沖田さんからもいってやって」

美沙子が笑って言う。

「さ、冷めちゃうわ。食べましょ」

朝食は和食だった。

沖田さんに合わせたのかな?たまにはこういうのもいいな。

「「いただきます」」

「そうそう、桜夜、近所の人に沖田さんの事を聞かれたらお母さんの親戚の子って答えておいて」

あ、そうだよね。いつかは絶対バレるもんなぁ。

「うん」

「沖田さん、桜夜は学校だし、私は仕事なの。昨日の今日でしょ?今日は一日家にいてもらえないかしら?」

「じゃあ、私が早く帰ってくるよ。今日は午前中だけだから。沖田さん、お昼が食べられないじゃん」

そこに沖田が口を挟む。

「お二人ともすみません。私は適当にしますので、気になさらずに」

気になるに決まってますよ、沖田さん。

「あっ、出なきゃ。とにかく早く帰ってくるから」

そう言って桜夜は走って出て行った。
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