桜の下で ~幕末純愛~
学校が終わり、桜夜はいつもより急いで家に向かう。

今日のお昼は何にしようかな。

あ、オムライスなんてどうかな?卵ふわふわってするの結構得意よ。

桜夜はニヤニヤしながら自転車をこぐ。

ニヤけながら走っているといつの間にか家に着いていた。

「何かいい事でもあったのですか?」

庭先から沖田が顔をひょっこり出した。

顔が緩んでた…恥ずかしいっ。

「い、いえっ。ってか、沖田さんは何をしてるんですか?」

庭から沖田が出てくるとは思わなかった。

「稽古です」

竹箒を片手に沖田が答える。

そっか。刀、ないもんね。昔って毎日こうやって稽古してたんだ。

…竹刀があったら少しはまともに稽古ができるのかな?

そんな事を考えながら自転車を置く。

「それは?」

自転車を指し沖田が聞く。

「自転車って乗り物です。あ、昨日言った新幹線もね」

昨日の事なんだ…。今、思うと悪いことしたかな。

ってか、いきなりだもん。仕方ないよっ。

「“じてんしゃ”ですか。“しんかんせん”も。篭の“みらい”ですかね」

昔は篭かぁ。沖田さんを新幹線に乗せてみたいな。すっごい反応だろうな。

「いつか、新幹線に乗りに行きたいですね」

桜夜が何気なく言った。

「そうですね」

沖田は笑って答えたが、その顔は一瞬曇っていた。

桜夜は不思議に思ったがあまり気には止めなかった。

―私はそんなに永く“みらい”に居なければいけないのでしょうか―

昼食も無事に済み、ゆっくりとした午後。

プリン食べたいな。…買いに行こうかな。

ソファーでくつろいでいた桜夜はふいに思い立ち、コンビニに行く事にした。

沖田さんに声かけてった方がいいよね。

「沖田さん、私、ちょっとコンビニに行ってきますね」

沖田がリビングへやってきた。

「“こんびに”ですか?…私も連れていってはくれませんか?家の中だけでは、どうも息がつまってしまいます」

そうだよね…一緒に行く位はいいよね。

「いいですよ。あ、でもっ、道とかコンビニの中で質問攻めはやめてくださいね…」

一歩歩くたびに質問されててんじゃ日が暮れるよ。

二人はコンビニに向かい家を出た。
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