桜の下で ~幕末純愛~
桜夜の廻りを軽やかに風が吹き抜けると求め続けた声が聞こえてきた。



『全く…何をしているのですか?』

『第一声がそれ?』

桜夜が少し頬を膨らませる。

『そうでしょう?迎えに行くからいい子にしていなさいと言った筈ですよ』

『遅いよ。四年以上いい子にしてたじゃない』

『…仕方ないですね』

『もうっ、逢いたくなかった訳?』

『冗談ですよ。おいで』

『総司っ!』

桜夜は駆け出し、両手を広げた沖田に飛び込む。

飛び込んだ胸は逞しく暖かかった。

抱き締めた桜夜の髪を愛しそうに撫でる沖田。

桜夜が顔を上げ沖田に薬指の髪紐を見せる。

『もう、約束は破らないでよ?』

『勿論です』

沖田もまた髪紐が巻かれた指を見せ、桜夜の指に絡めた。

そして優しく見つめながら額に唇を落とす。

『おかえり 桜夜』

『ただいま 総司』



桜の木に凭れた桜夜の胸から二つの桜色の光が浮かび上がる。

二つの光は絡まり合う様にしながら空高く昇っていった。




         《 完 》
< 234 / 234 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:179

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

声
まおい/著

総文字数/23,039

歴史・時代55ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
この声は届きますか? 2013,09,21
桜の下で ~幕末純愛~ 番外集
まおい/著

総文字数/9,166

歴史・時代30ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
桜の下で ~幕末純愛~ で書き足りなかった部分やもしも~などなど、ショートストーリー集です。 前作を読んでいただけると分かりやすいかと。 息抜きに少しずつ進行していきます。
リュヌとソレイユ
まおい/著

総文字数/526

絵本・童話3ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
太陽と月のお話しです。 ・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・ 水瀬うた様・*arisa*様 レビューありがとうございます

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop