計算できない恋愛
走り寄る笹田。
綺麗に揃った前髪が揺れて何とも風情がある。
お世辞にも可愛いとは言えやしないが。
・・・むしろ吹き出しそうだ。
目をキラキラさせて・・・
あぁ趣深い。
「篠原くんが数学教えてほしいらしいよ」
今にもよだれをたらしそうにだらし無く開いた笹田の厚い唇が濡れて光る。
「私で良ければ!」
私はふと王子に視線を返す。
そこで私が見たのは予想に反した彼の笹田に向けた笑顔だった。
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