計算できない恋愛
私達の交点座標
「姉さん、またパソコンの調子が悪いんだ」
夕食の後、期限の迫っている課題を終わらせるため、黙々と参考書に目を通していた午後八時くらいの事だった。
中学三年生の弟がぶつぶつ言いながら私の部屋の戸を叩く。
「はいはい、後で行くから」
きりのいいところで終わらせ、本にしおりを挟んで、隣にある弟の部屋を訪ねた。
機械系なら得意分野。
こういった系統の修理はいつも長女の私が任される。
「はい、直ったと思うよ。」
ベッドの上でだらしなく手足を伸ばしている弟がふとこちらに一瞥をくれた。
「ありがと。お礼に机の上のクッキーあげるよ」
いつも通り、修理代としての甘味を頂いた私はそのまま自分の部屋に帰り、再び参考書を開いた。
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