だから君に歌を
そうして千夏は続ける。

「歌なんて、どこでだって歌えるし、テレビに出なくたって聞いてくれる人はいる。千雪はさ、私が歌って、それを聞いて立ち止まってくれた人がいたから生まれて来たんだよ」

千夏はそう言って千雪の手を握った。

「ちい、お歌から生まれたの?」

「うん。そうだよ」

「ふーん」

また、風が吹いた。

京平が千夏の肩を叩く。
見上げると、手をさしのばされ、
千夏はそれを掴む。

「さ、行くぞ」

新しい関係が始まる。

きっと、
それは、悪くない未来。

長年の片思いは、
終わるのか、
続くのか、

今の千夏にはまだわからないこと。

千雪が千夏をママと呼び、千夏が京平をお兄ちゃんと、再びそう呼ぶ。

それが当たり前になるのは、そう遠い未来じゃない。




End
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