だから君に歌を
千夏は想像する。

小さな小さな海に囲まれた島。

そこにある小さな居酒屋。
そのカウンターには京平がフライパン片手に笑っていて、千夏や千雪の名前を呼ぶ。

千雪は愛らしい笑顔を振り撒いてしきりに歌ったり踊ったり。

たまにお客さんが来ては、注文が入る。

千夏はそんな様子を見ながら、ギターは弾けなくとも、曲を考え、詞を書き、
歌を口ずさむ。

誰のためでもない、
自分のために。

そしてたまには、京平や、千雪のために。


やばい、
そんな人生もなかなか悪くない。

結構アリかもしれない。

「じゃあ、帰るか。三人で一緒に」

京平と千雪が笑う。
つられて千夏も笑う。
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