俺が大人になった冬
大晦日に集まって騒ぐ計画が始まったのは高2のときだ。

言い出したのは、俺が一人で暮らしていることをたまたま知っていたヒサ。

年末年始を1人で過ごすであろう俺を、ヒサなりに心配してくれての提案だと思った。年末年始を1人で過ごさなければいけなかった俺にとって、押し売りではないヒサのさり気ない気遣いは純粋に有り難かった。

5人とも家族の愚痴はよく言っているけれど、俺から言わせれば皆なんだかんだいって『うまく行っている家族』ようで。高校2年から一人暮らしをしていることは、いかにも家庭に事情があると言っているようで、みっともなくて高校のときはずっと言えなかった。

店の閉店後は俺の家で日の出まで過ごすことになっていた。

皆を家に呼んだのは、はじめてだった。
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