俺が大人になった冬



風呂から出てきた彼女は、シンプルだけれど質の良さそうなパジャマを着て、恥ずかしそうに部屋に戻ってきた。

両手で口元押さえてあまりに恥ずかしそうにしていたので、どうしたのかと尋ねると

「お化粧落としてしまったから……」

と、言った。

その仕草がとてもかわいらしくて、切なくて悶々とした気分だったのも忘れ、思わずふっと笑ってしまう。

「今更なに言ってんだよ。気にすんなよ」

俺は笑いながら彼女の両手を握り、ゆっくりと彼女の顔から離す。

彼女の手をどけて、ドキッとした。

はじめて見る、彼女の素顔。

化粧を取った彼女は、化粧をしているときより多少年齢は感じるけれど、子供のようにあどけない顔をしていた。

肌もとてもきれいで、30代半ばのクセにスッピンでも全然……

「かわいいじゃん。全然イケてるよ」

思わず本音が出てしまった。

ヤバい!?

せっかく抑えていたのに、急に彼女を抱きたくなってきた。

我慢。

我慢……
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