俺が大人になった冬
「あ……嫌よね。こんな年上と食事なんて。ごめんなさい」

思いつきで言ってしまったことを、少し後悔しているように、慌てた口調で女は言った。

それに対して俺は

「いえ。あなたみたいな素敵な女性と食事なんて嬉しいです」

と、『純情な１８歳の男』を装いそう言って、照れたように笑って見せると、女もまた恥ずかしそうに顔を赤らめて俯いた。

「お肉は好き？」

「大好きです」

「そう。じゃあ、少し待っていてもらっていい？」

「はい」

女は少し弾んだ声でそう言うと、席を離れた。

店の外で、どこかに電話をかけているようだ。

嬉しそうな表情を浮かべ、席に戻ってくると女は

「じゃあ、行きましょうか」

と、早速のように伝票と荷物を手に取り、会計を済ませに行った。

女の態度の変化に少し戸惑いながらも、なんにせよ女が俺に興味を示しているようなのでいいのだと思うことにした。

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