俺が大人になった冬
少し戸惑いながらも、今までのようにほぼ初めから『体だけの割り切った関係』と切り出すよりも、『俺の方が付き合ってやっている』というふうに見せた方が色々便利かもしれない。という考えが浮かび、俺は『人妻になど手を出したこともない純情な若者』のように

「ええと……それはどういう意味で?」

と、わざと尋ねてみた。すると、

「それは……」

女は困ったように黙り込んでしまった。

「あ、ごめんなさい。意地悪なこと聞いて」

変なことを言って、せっかくの金ずるが逃げたら大無しだ。

俺は女に向かって『女ウケのいい、かわいい笑顔』を見せ、返事をした。

「いいですよ。俺でよければ」

すると女は、最高に嬉しそうな表情を浮かべ

「本当? 嬉しい」

明るい声で言うと、ふっと思い出したように

「そういえば、まだあなたの名前聞いていなかったわね」

と、改めて聞かれた。


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