俺が大人になった冬
高1から高2になるあいだの春休み。すっかりデカくなった母親の腹を見るたびイラつくようになり、親父から学費と毎月の生活費だけ振り込んでもらうという形で家を出たいと話をした。

親父からは元々、養育費として毎月金が振り込まれていたし、母親の男から金を出されるのは嫌だった。高校生の一人暮らしなど、普通の親なら絶対に許さないことなのだろうが、2人とも離婚したことや腹の子供のことで、俺に対して変に気を遣っていたし、反対などできないだろうと計算した上でのことだ。

計算通り2人とも、俺の一人暮らしには反対しなかった。

相手の男とは、一度も会っていない。会いたくもないし……

母親の住むマンションにも、それ以来顔を出していない。子供は無事に産まれたらしい。見に行ったこともないけど。

電話はたまにかかってくるが、出たことはない。留守電に「たまには帰っていらっしゃい」とか「元気なの? ちゃんとご飯食べているの?」なんて『子供を心配する親』みたいなメッセージが入っていることもあるが、正直ウザい。

最後にまともに話したとき「元に認めてもらうまで、結婚はしない」とか言っていたけど、きっと今ごろ3人で楽しく暮らしているのだろうと思う──。

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