海と少女と介護士と
「海羅・・・・・・。」

呟くと海羅は微笑んでくれた。
そして手招きをしてくれた。


海羅に歩みよる。

「明るい所好き??」

「うん。」

「そか。」

海羅はいきなり俺の頬っぺたをつまんだ。
そして

「悲しい顔しないで。」

そう言った。


俺は今気づいた。
今日は一回も笑顔になれてないんだ。


「俺、本当は海羅と離れたくない。」

「うん。私もだもん・・・・・・。」

「でも明日が最後。お前と思い出作りたいんだ。」

「私も・・・・・・。」

「だから今から、てるてる坊主作らないか??」


いきなりの俺からの提案に少し驚いた様子の海羅。
でも、すぐ微笑んで頷いた。



海羅、明日でお別れだけどさ・・・・・・。


思い出作ろうな・・・・・・。


いっぱい作った、てる照る坊主に一緒に祈ろうな。


“明日は晴れます様に”




海羅は純粋な女の子。
海を見たいだけなんだよな。


大丈夫、明日はきっと晴れるよ。
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