狐の眠り姫
だから、と少年は言った。
「俺にその霊を寄越せよ。」
「よこ…す?」
ぺろりと唇を舐めて、少年は笑みを浮かべた。
「俺が喰うんだよ。霊は、なかなか美味だぜ。」
「あなた…何者なの?」
この時、少し期待していたのかもしれない。
彼が人であることを。
もし悪魔だったら、逃げ出す腹積もりでもあったけれど。
答えは、どちらでもなかった。
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