《短編》ヤンキーの姉
あたしは胸元を隠したかったけど、腕の自由が利かないから無理。

だから代わりに、見ないでという意味を込めて顔を逸らした。



「てめぇら、めぐみに何してやがる!」

見えないから本当に見るのを止めてくれたか分からないけど、英治の意識はあたしより周りの不良たちに移されたらしい。


ちらりと英治を見ると、怒りに満ちた眼差しで赤髪男を睨んでいた。


「何って見りゃ分かんだろ? 楽しいことしようとしてたんだよ」

あたしからは見えないけど、明らかに笑っている赤髪男。


「つか、姉をエサにして本当に来るなんてな。エイジってマジでシスコンなわけ?」

こっちもあたしからは見えないけど確実笑っている口ピアス男。
< 13 / 41 >

この作品をシェア

pagetop