逆らえない
安西はキョトンとした顔をする。

「あ…うん…わかったよ…急いで着替えてくるから…」

何か不穏なものを感じ取ったのか、彼女の声は小さくなる。

その言葉を聞いて。

「おい!」

日比野がロッカーを蹴り上げた!

大きな音と共に、ひしゃげるロッカーの側面。

安西はビクリと体を震わせる。

「今すぐだって言ってんだろうが!」

「え…」

吠えるような日比野の声で、安西の目尻に涙が浮かんだ。

「ど…どうすれば…いいのかな…?」

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