マイスィートアフタヌーン
進むべき展開ではなかったらしい。咳払いをして、ミセス・ミルトンは言い足した。

「頭が良いのです」

さもあらん。


「ジョン君ですが。見つけ出した後、どうなさるのですか?」

「即刻、連れ戻します。あってはならないことですのよ? これは家の恥ですわ。何もなかったことに戻さなくてはなりません」


 息子の性質は知らねども。

家に居ては息が詰まったのだろうと、ミセスの右手の拳(こぶし)を見て思ってしまっていた。


なかったことに戻せるのだろうか。
息子を探し出して突き出すのは(すでにこんな言葉に心情が移行している)、彼には酷というものではないのだろうか。
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