きみに守られて

「そうだ、目覚めたらまた、
大島優里の映画を観よう。
だから、今は、少し、寝よう・・
そして言い訳だらけの人生に
さよならしよう」
うわ言のように呟く。


ユリツキはマブタを閉じ

呼吸を止める。

すべてに許された安らかな顔と、
貯まりに貯まったウミを
抱きしめたままで。

空には、南から北上してきた
桜前線が、大都会東京を
巻き込もうとしていた。

少しだけ早とちりの、
桜の花びらが、ひらひら、
一枚二枚と、
花いちもんめの律動で、
表参道に落ちていった。



                                                 
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