きみに守られて
すでに数分過ぎ去っていた。

(・・っと、言う事は、
大島優里に会うべきってことかい?)
胸が高鳴る。
彼女の笑顔が浮かぶ。

ユリツキが現れた曲がり角の後ろ側、
90度曲がった先を、
十六歳の彼女が反対方向へ
確かに歩いていた。
歩いていただけで
すべてが一変したことに気づかずに、
夢を叶える為に
ある所に向かっていたのだ。

ユリツキは回れ右で、
元の場所へ
軽いリズムでも刻むように
気楽な足取りで歩いて行く。


(大げさにする程の
環境じゃないみたいだなぁ、
別に慌てなくてもいいだろう。
やっぱ、思ったとおり、
表も裏も変わらないないじゃないの?
神様よ~)


駅に向かって走っていた時には
気づかなかった臭いに気づく。

(なんだこの臭い?
なんか腐ったような臭いだ)

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