きみに守られて
『朝』
いつもの月曜日の朝がくる。
日曜日よりも穏やかで
麗らかな朝だけど、
ユリツキにはまったくと言って良い程に
興味がない朝の光、
他人事のような朝だ。

無機質な計画表にそって目覚め、
出掛けの用意をして、
靴を地面に叩き付けながら履き、
鍵をかける。
耳に入るのは
車のアイドリングの音
(今、信号は赤だ)
赤錆がういた
鉄製の階段を
コンコンと鈍い音を立てながらおり、
車一台通れる
狭い道に降り立ち、
大通りを
見るともなくただ眺める。

神経をさかなでる
風が吹きあがる地下鉄入り口へ
進む。

人が忙しく行き交う歩道で、
宗教の勧誘をしてい女性が
なれなれしく
声をかけてきた


「忘れていませんか?
清く、正しく、美しく」

ユリツキは
前を歩いていた群衆と同じように、
不機嫌な顔で
無視して歩き続ける。
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