きみに守られて
ソファーに座っていたユリツキの耳に、
優里の微かな寝息が聞こえた。

聞こえたと同時に緊張が緩んだ気がした。
決して煩わしい緊張感ではなかったけど。

ユリツキは音も無く立ちあがり、
ユニットバスに入り音も無くドアを閉め、
ふたがされた便器に座る。

狭いユニットバスには透明で
白いシャワーカーテンと、
洗面台、小さな湯船がある。
どれも水飛沫で濡れていた。

シャワーカーテンが垂れ下がっているだけで、
空間をせまくし圧迫感がある。
ユリツキは
ラグビーボールに似た形の電灯側に
シャワーカーテンを
折りたたむように引っ掛ける。

電灯を覆った濡れたカーテンは
鈍い光ながらでも万華鏡の光であった。

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