きみに守られて
この日から
手厚い看病が
瞬きと呼吸と体温がある人形に
話かけながら続いた。

「私ね、ちゃんと生きていたよ。
朝おきてお花に水をやって、
野菜とか作って、
結構大変だったけど楽しいよ。
ねぇユリ兄も早く元気になって
一緒に作ろうよ・・」

聞き取れているのか、
理解しているのかが
解らない男に会話をした。

「ユリ兄がさぁ、
送ってきた護身用の鉄砲、
手に取った時
思わず笑ちゃったよ!
”ここまでするぅ”って
それに最初のプレゼントが鉄砲よ、
拳銃なのよ?
おかしかったな。
あ、ごめんね、笑って。
凄く嬉しかったよ、
それから毎月のように送られてくる、
お金と弾丸がね、嬉しかった。
だからいっぱい練習したよ、拳銃。
重くて怖くて辛かったけど
頑張って撃てるようになったよ、
上手にもなったよ。
でも使う事は一度もなかった。
ユリ兄が戦っていたから。
私はユリ兄がいたから
危険な目にあわずに
無事でこれたんだよ、
ありがとうね」

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