幾千の夜を越え
2nd 英雄
葵に宣言してから、
俺の胸間は不思議なぐらい
穏やかで…

「おい右川。
今日こそは逃がさないぞ」

先週から無視し続けてた
担任の呼び出しに応じて

「わぁってるよ…
放課後行きゃ良いんだろ?」

廊下を並んで歩いてた。

「お前は成績は優秀なんだが…
素行に問題有り過ぎんだよな」

「お誉めの言葉をありがとう」

「誉めてないんだよ」

解ってるって。

嫌味なんだろ?

「ってかさ…そんで何で俺?」

態度に問題有りって解ってんなら

普通は品行方正な
性少年を指名するよな?

敢えて性に直す辺り、
俺って解ってんな。

「さあな…女生徒の強い要望だ」

強いを強調する辺り、
なんだろ寒気が…。

頭ん中が性少年より、
青臭ぇが青少年のが、
まだ可愛気があるって…

「俺…
若干の身の危険を感じるんすけど
マジに大丈夫っすよね?」

多少大袈裟に体を擦った。

「お前なら大丈夫だ。
逆に女生徒の心配をしてやらんといかんだろうな…」

どういう意味だよ…。

確に今週はまだ
何も食ってねぇけど…

腹が空かねぇんだよな…

フラフラ歩いてるだけで、
告られることはあっても、

take a hotel

って気分になんねぇ。

「まあ、気揉んでないで
放課後の美術室頼むな」

職員室に消えていく。

あの先公はまだ20代半ばで
年も近ぇし見た目的にも
中々イケてる。

俺的にも話し易い。
割りと気が置けなかったり

ってか先公って気がしねぇんだよ

それもどうかと思うけど…

んな訳で、

腹も空かねぇ今は…

ヤツの頼みも有りか?
なんて考えた訳だ。

腹減んねぇんだよな…。

呪縛から解き放たれたってのに、

その前より淡白になっちまった。

俺はジジイかっての

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